「小さいバッグもあったほうがいいんじゃない?」
 私は蒼樹と唯くんに言われるがままに動いていた。
「っていうかさ、碧さんはさっきまで点滴受けてたんだから、少し休んでたらどうですか?」
「そうそう、母さんに倒れられても困るんだよね」
 言われてすぐ、手に持っていたボストンバッグを蒼樹に奪われた。
 本当に慣れたもので、妹の下着すら普通に「これとこれと……」と適当にチョイスする。
 我が息子ながらにしてできすぎだ。
「あんちゃん、本は? 何か読みやすいものとか」
「それなら写真集かな。ベッド下に置いてある一冊と、本棚の下段一番左に悠久って写真集があるからそれ出して」
「了解」