「えっと……パジャマよりもルームウェアのほうが好きなのね……」
 自分の点滴が終わると同時に娘の翠葉が病院へ運び込まれ、入院手続きを済ませた今、私たちは入院に必要なものを自宅へ取りに帰ってきていた。
「母さん、少し落ち着いてよ。……だから病院で待ってていいって言ったのに」
 息子にそう言われてしまうくらい、私は的確に動けていなかった。
「ルームウェアはそっちじゃなくてこっち。前が開くタイプのほうが着替えるとき楽」
 蒼樹に言われて去年の入院時のことを思い出す。
 被り物だと着替える際に、点滴をくぐらせたりなんだかんだと大変なことになる。
 それに、麻酔の処置を受けるときにも前開きのもののほうが都合がいい。
「今日だけじゃないし、とりあえずは二着くらいあれば大丈夫だろ」
 蒼樹の助言に感謝しきりだ。