その言葉も気持ちも嘘じゃないのに、どうしてか視線が手元に落ちる。
「翠葉ちゃん」
 ツンツン、と日焼けした人差し指に手をつつかれる。
「ほれ、こっち見てみ?」
 ベッドマットに顎を乗せている昇さんに視線を移すと、
「言おうかどうしようか迷った。俺は仮の主治医で本当の主治医じゃないからな。でも、やっぱ言っておく。君はさ、痛いって言っていいよ。我慢できるレベルの痛みじゃないことはペインビジョンの数値で立証されてる。あんな痛みをひとりで抱えなくていい。医者に泣きつけ。それでいい」
「……泣きついたら、助けてくれる……?」
 涙が零れる。
「そこなんだよな」と、昇さんは苦笑した。