すごく衝撃的な話に私は呑まれていた。
「さ、そろそろ身体起こせるかしら?」
 ゆっくりと身体を起こしてみると、吐き気も眩暈も襲ってはこなかった。
「大丈夫みたいね。じゃ、朝食あたためなおして持ってくるわ」
 藤原さんの背中を見送り、ひとりになった病室でポツリ、と口にする。
「藤原さん……人を信じられないのにどうして人を救う仕事をしているの?」
 私には、ものすごくちぐはぐしているように思えた。
 人を信じられる信じられない、というのは、人を好きか嫌いかという問題とは別なのだろうか。
 でも、私は知っている。
 信じたくても信じられない気持ちや、人を信じるということがどれだけ勇気が必要で怖いことなのかも……。
 それでも信じたくて――。
 その狭間にいるのがどれだけつらいことなのかは知っている。
 藤原さんは、本当はどこに立っているのかな。