『……なんだかほどよくリラックスさせていただきました』
「……あのね、悪気はないんだよ?」
『そんなものが御園生にあったら怖い。世も末だよ』
 佐野くんはクスクスと笑いだす。
「……もう少しお話ししててもいい?」
『平気』
 まだ笑いの残る声が返ってくる。
「私は佐野くんに恋愛相談したことある?」
『そうだなぁ……たいていは五人でいるときにそういう話を聞いていた気がする』
「……っていうことは、私には好きな人がいたっていうことと、初恋済みってことだね」
『あ――なんだかひどい質問じゃね?』
 確かにひどい質問だったかもしれない。