気を取り直して佐野くんの番号を呼び出す。
 今度は通話ボタンを押すのに勇気はいらなかった。
 そんな自分を少し不思議に思いながらコール音を聞いている。
「出ない、かな……」
 六回目のコール音が鳴ったとき――。
『御園生……?』
 ツカサよりも少し高い声が携帯から聞こえてきた。
「はい、御園生です。佐野くん?」
『ハイ、こちら佐野です』
 ……ん? これ、なんのやり取りだろう……。
『大丈夫なのか?』
 私が言おうとしていた言葉を先に言われてしまった。