光のもとでⅠ

 黒く日焼けした手は、蒼兄やお父さんの手よりも大きい。
 そして、何よりも力強い。
 私の手は青白くて小さい。
 まるで頼りにならない手だ。
 昇さんの手が人と違うのは、容赦なく力をこめてくれること。
 力加減せず、しっかりと手を掴んでくれた。
 蒼兄や唯兄、栞さんや湊先生とは違う。
 ツカサとも違う。
「薬を使いたくなくて我慢してるのか? それとも、痛いことを言えないのか――どっちだ?」
「……どっちでもないです」
「それ以外ってことか?」
「我慢できるから言わない……」
 その答えに昇さんが目を見開いた。