「そんなだから、周りが放っておけなかったり、翠葉ちゃんの意思を尊重しては側に近寄れなくなるんだな」
 それはわからないけど……。
「でも、私は楽になりたいとは思っているし、痛みに怯える日はもう散々……。早くこんな症状とは縁を切りたい」
 そういうふうには思っているんだよ。
「外科手術でどうにかできるのなら、俺が救ってやれたかもしれないのにな……。生憎、翠葉ちゃんのこれは俺の専門外だ。当面、痛くなったら薬で眠らせるような処置になる……」
 先生は申し訳なさそうな顔をしていた。
「やだな。昇さんが申し訳なく思うことじゃないです」
 軽くパシ、と先生の腕を叩いて見せた。
「いい子すぎるのは考え物だ」
 いつもは低く大きな声で話す人が、小さく小さく、一言だけ零した。