ナースセンターで藤原さんにツカサの見送りに行くことを告げ、そのあとしばらく携帯ゾーンにいることを伝えた。
 ツカサは軽く頭を下げて通り過ぎ、今は私の歩調に合わせて歩いてくれている。
 会話なくエレベーターホールまで歩き、
「あとで、電話するからねっ」
「待ってる」
 ツカサが一言口にしたらエレベーターのドアは閉まった。
 もっと何か伝えたかった気がするのだけど、何を伝えたらいいのかがわからなくて、電話するから、としか言えなかった。
 携帯ゾーンのソファに座るとフリースを膝にかける。
「こういうの、いつもなのかな……」
 いつもこうやってフォローしてくれていたのかな。
 確かに、記憶がなくても困ることはない。
 でも、なんだか寂しい。