「……普段、人に何かをお願いとか頼まれることがないから、かな」
 だから、人に何か頼ってもらえることがあるとすごく新鮮で、それを嬉しいと思ってしまう。
「俺が病室を出て十分したら電話してくれない?」
「……全然かまわないよ?」
「じゃ、よろしく」
 ツカサは立ち上がりドアへ向かう。
「帰るのっ!?」
「そう」
「エレベーターホールまで送りたいっ」
「……だからさ、そんな必死にならなくても拒否したりしないから」
 と、私がベッドから下りるのに手を貸してくれた。
 携帯を手に持って立ち上がると、「これも」とフリースのブランケットも持たされた。