光のもとでⅠ

「疲れてるんでしょうね……」
「そうね。彼は弓道だったかしら? 精神力を要するものはなんでも疲れるわ」
 私たちは起こさずにツカサを休ませてあげることにした。
 私がベッドに上がると、藤原さんは「またあとでね」と病室を出ていき、私の意識はツカサへと戻る。
「ぐっすり……」
 でも、いくら健康優良児でも、何もかけずに寝ているのは身体によくない気がする。
 ベッドの上にはタオルケットと羽毛布団がある。
 どっちにしようか悩んで、私はタオルケットをかけてあげることにした。
 ベッドから下り、点滴スタンドを押すと、カラン、と音が病室に響いた。
 そんな小さな音にすらビクリ、とする。
 一度足を止め、ツカサの様子をうかがい見るも、起きる様子はない。
 ほっとして胸を撫で下ろし、再度音が鳴らないように点滴スタンドを押し進め、ソファの近くまで来た。