時間はあっという間に過ぎ昼食が運ばれてきた。
 佐野くんは時計を見て、
「俺、これからマッサージだ」
「ここ?」
 蒼兄が訊くと、
「はい。中学のときに一度入院して、それ以来ここでメンテナンスしてもらってます」
「そうなんだ。明日、がんばれよ」
 その言葉にはっとする。
「明日からインターハイっ!?」
 佐野くんはにっと口を引き上げて、「そう」と答えた。
「マッサージ受けたら、その足で現地の宿泊施設に移動なんだ」
「……ごめんね、そんな忙しいときに」
「全然かまわないよ。もともと病院には来る予定だったし」
「ありがとう。明日、がんばってね」
 佐野くんは顔を引き締めて、「おう」と答えた。