「嘘じゃないって。入院してからも度々お見舞いに来てくれてるしさ」
 唯兄にはじとりと見られた。
「……そう、なの?」
 お母さんを仰ぎ見ると、「そうみたいね」と苦笑した。
「今さらよ」
 湊先生にもそう言われたけれど、やっぱり私にとっては知らない人で……。
「翠葉、宅急便と同じだと思えばいい。家に宅急便が届いても、ルームウェアで出るだろ? それと同じ」
「あ……それなら大丈夫そう」
 蒼兄の説明に納得すると、周りがさらに苦笑した。
 なんか、やだな……。
 ちょっと居心地悪い……。
 でも、録音されていた声は好きだな、と思った。
 好き、というよりは安心できる声。
 私はいったいなにがきっかけであんな録音をしたのだろう――。