光のもとでⅠ

 手に握っていた携帯を唯兄に取り上げられる。
「ね、唯兄……それ、誰の声?」
「え……?」
「録音してある声……。私が話をしているのに、その会話の内容に覚えがないの」
 ふたりは携帯を見つめ、その声に耳を傾けた。
「――こんなのいつ……」
「あんちゃん、それはあと」
 唯兄が私に向き直る。
「これが誰なのかを教えてあげるのはものすごく簡単なんだけど、教えていいのかは俺たちに判断できないから、湊さんに訊いてくる」
 唯兄はすぐに病室を出た。
「ね……私、どこが悪いの? 今度は頭?」
 不安に駆られて蒼兄に訊く。