光のもとでⅠ

「大丈夫よ」
 その言葉にほっとするものの、不安は拭えない。
「ICUには戻らなくても大丈夫だから、まずはきちんと呼吸しなさい」
 言われたことに頷き、呼吸することに専念した。
「湊先生、これよかったら使ってください」
「あぁ、ありがとう」
 湊先生は検査技師さんに渡されたタオルで額を拭いてくれた。
「すごい汗よ。気分は悪くない?」
 汗……?
 不思議に思いながら、「大丈夫です」と答える。
 検査は中止になり、頭に取り付けられた吸盤もクリームも拭き取ってもらってどこにも寄らずに病室へ戻った。
 病室に戻り着替えを済ませると、
「これを食べたら薬を飲んで少し休みなさい」
 と、藤原さんが桃を出してくれた。