検査室を出ると、先ほどはずされたバングルをすぐに左腕にはめられた。
「先生これ……」
「次の検査まで時間がないの。その話はあとでするから」
 と、今はそれ以上訊かせてはもらえなかった。
 検査室の隣の隣にある控え室で着替えをするために車椅子を立ち、来たときと同様に先生が点滴パックをカーテンレールに吊るしてくれる。
「じゃ、着替え終わったら声かけて」
 私はロッカーからルームウェアを取り出し、隅に置いてあるスツールに座りながら横着をして着替える。
 全部着替え終わり、ロッカーに付いている鏡に映る自分を見て――。
「……え?」
 ルームウェアの首もとに黒い染みがついていた。