「このボタンを手に持っててくださいね。何か違和感があったらすぐに押してください」
「はい」
 ナースコールのようなボタンを手に握らされる。
「閉所恐怖症ではないですか?」
「大丈夫です」
「私たちは常にあのガラスの向こうからこちらの部屋を見ています。それでは、これからガンゴンガンゴン道路工事みたいな音がしますので、これを耳につけて聞いていてくださいね」
 と、聴診器を耳に付けられた。
 聴診器からはオルゴールのかわいい音が聞こえてきたけれど、それはすぐに検査音に打ち消されることになる。
 とても眠ることはできそうにない音と共に検査が始まり、数十分して検査が終わった。
 寝台の上に起き上がると、「お疲れ」と湊先生が車椅子を持って待機していてくれた。