光のもとでⅠ

「茹でだこね」
 頬をつつかれてさらに熱くなる。
 両頬を自分の手で覆うと、すごく顔が熱いのがわかった。
 恥ずかしい……誰にも知られていないことだったのに。
「どうして司くんと付き合ってないの?」
 えっ!?
 どうして、って言われても……。
「藤原さん、ツカサはね、やっと友達って思えるようになったところなんです」
「……参考までに、それまではなんだったのか教えてくれるかしら」
 笑いが急に止まって真顔で訊かれる。
「えぇと……先輩以上友達未満の頼れる人。その前が格好いいけど意地悪な先輩……だったと思います」
 正直に答えると、藤原さんがお腹を抱えて笑い出した。
「あの、私、何か変なこと言いましたか?」
 居心地が悪くてもじもじする。と、
「そんなこともないわ」
 そうは言ってくれたけど、藤原さんはまだ笑っていた。