「ご実家にも十階へ移ったことは連絡したわ。午前は上のお兄さんがいらっしゃるみたい。午後過ぎにはお母様がいらっしゃるわ。誰もいないときは私がこの部屋にいる。ひとりになる時間はないけれど、秋斗くんとふたりになる時間もないから安心しなさい。それに、神崎医師にも事情は伝えてあるから」
 まるで秋斗さんが危険人物扱い……。
 本当はこんなふうになる予定じゃなかったのに。
 私はまた、どこかで何かを間違えてしまったのだろうか……。
 以前、私に向けてくれていた優しい笑顔の秋斗さんと昨日の秋斗さん。
 どっちが本当の秋斗さん……?
 昨日の"怖い"は、少し前に感じ始めた"怖い"とは種類が別だった。
 人として、怖いと思ってしまった。