「ちゃんと……ちゃんと会って謝りたくて……」
『そう、いいよ』
 やっぱりいつもと声が違うと感じる。
『謝りたいってことはさ、俺に悪いことをしたと思ってるんだよね?』
 それはもちろん……。
「はい。すごく、ひどいことをして傷つけてしまったと思っています……」
『…………』
 沈黙の時間が怖かった。
 たったの数秒だったのか、それとももう少し時間が空いたのかすらわからないほどに。
『許さない……』
 電話に出た声を聞いたときから、そんな気はしていた。
『俺を傷つけたと思うなら、その傷は翠葉ちゃんが癒して? ……今から病院へ行くから』
「……え? あのっ」
 私の声が届く前に、携帯は切れてしまった。