「リィも飲みなさい」
 カップにはハーブティーが入っていた。
 家族でお茶を飲むのはどのくらい久しぶりだろう……。
 昨日、お父さんとも一緒に飲んだな。
 ……お父さんも一緒にお茶を飲めたら良かった。
 それも私がいけないんだ……。
「悪いー、遅くなったー」
 えっ……!?
 病室の入り口に視線を向けると、そこにはケーキボックスを持ったお父さんが立っていた。
「なんだ? 翠葉、口をぽかんと開けて」
「……お父さん、現場に戻るって――」
 昨日、確かにそう言っていたのに……。
「無理矢理な、一日伸ばしてもらった」
 にこりと笑ってベッド脇にやってきた。