そのお父さんの後ろのハーブ園の影にいるであろう人……。
「何かあったか?」
 お父さんは背後を振り返る。
「……ううん、何もない」
 何もないけど人はいる……。
 心の中で「ごめんなさい」と謝りつつ、そのまま病室へ戻った。