「俺は裏ってこと?」
「ピンポンです」
 そんな会話をして別れた。
 別れた、といってもハーブ園の裏と表。距離にして二メートルないくらい。
 正面から来るお父さんには私しか見えない。
 お父さん、話をしよう……。
 話を、しよう――。
 世間話ではないかもしれない。
 笑って話せる内容でもないかもしれない。
 泣いてしまうかもしれない。
 でも、逃げないから……。
 だから、話をしよう。
 お父さん、私、ちゃんといい娘になれるかな……。
 そんなことを不安に思っていると、背後から静かな声が聞こえていた。
 それは数字。一から十までの数――。