楓先生は一度ベッドに腰掛け、
「大丈夫?」
 と、私の顔を覗き込む。
「大丈夫です」
「じゃ、病室に戻ろう」
 楓先生の言葉に頷き、車椅子へと移動した。

 昇さんの言葉はストレートで、ノックアウト、という感じ。
 それに対して涼先生の言葉はとても抽象的で――でも、どこに足をつけたらいいのかわからなかった私を、ストン、と地へ下ろしてくれた気がした。
 ――まずはお父さん、かな。
 会うことが決まっているお父さんには、会ったらごめんなさい、と謝ろう。
 今の話をしてみよう。
 どんな答えが返ってくるだろう……。