「翠葉ちゃん、さっきの続きだ」
「ちょっ――さっきの今でまだ何かっ!?」
 楓先生が間に入ってくれたけど、私は身体を起こして楓先生の申し出を断った。
 まっすぐに昇さんの目を見る。
「二者択一だ。人に心配をかけるのと遠ざけて避けまくるのと、どっちがひどい人間だと思う?」
 どっち――。
 私にはどちらもひどいことだと思う。
 でも、後者が人を傷つけることになるのなら、ひどいのは後者かもしれない。
「あのな、翠葉ちゃん。心配なんてのは君がかけたくてかけてるわけでもなければ、お願いをして心配してもらってるわけでもないんだ。けど、後者は間違いなく君からアクションを起こしてる。君が傷つけているほかならないだろ? 違うか? 言葉で傷つけたのなら言葉で誤解を解けばいいし、謝ればいい。でも、行動によって傷つけた傷はなかなか癒えないぞ。……行動には行動で償いをしなくちゃいけない。それは生半可なことじゃない」
 ――本当だ。
 昇さんの言うとおりだ。