目から涙があふれる。
「御園生さん、痛み?」
「……違います」
 私は――私はなんてひどいことをしてしまったのだろう。
 こんなことをされて傷つかない人なんていない。
 私――大切な人をとても嫌な方法で傷つけた。
 言葉よりももっとひどい方法だと思う。
 どうしよう――。
 顔を手で覆うこともできずにいると、藤原さんにホットタオルを渡された。
「泣きたいだけ泣いちゃいなさい。その間に髪の毛乾かすから」
 タオルがとてもあたたかくて、ちょっと熱いくらいで、なんだかじんわりと心にも肌にもチリチリ沁みた。
 車椅子で病室に戻ると、
「ハーブティーが好きなんですってね」
 びっくりしながら、「はい」と答えると馴染みある缶を見せられる。