「そのときはそのときだ。親はそれを受け止めきれるくらいの器が備わってるもんだ。……と、俺は思いたいし受け止めるべきだとも思う。それに……あの親父さんなら大丈夫だ。根拠はないがな」
 と、ハハと笑った。
「昇さん、その言葉信じますからね」
 じっと睨むようにして見つめると、
「いいよ。患者の信頼を得ることが医者のファーストステップだからな」
 にやりと笑んだ。
「さてと、そろそろ戻らないと清良女史がうるせーからな」
 そう言った瞬間だった。昇さんのPHSが鳴り出した。
 午前の治療準備が整ったから戻ってこいという藤原さんからの電話だった。