「せめて親父さんにくらい会わないか? 短時間でかまわないし、難しいことを話せとも言わない。ただ、会って世間話くらいしたらどうだ?」
 世間話ってなんだろう……。
「俺がその場にいてもいいし。……俺が見たところ、親父さんが一番落ち着いていたように思う。慌てもせず、冷静におまえのこと見てたと思うよ」
 きっと昇さんも知っているのだろう。
 家族が私の寝顔を見て帰っていることを。
「……会う。お父さんとだけでいいなら……。でも、もしもひどいことを言っちゃったらどうしよう……」
 それだけが怖かった。
 今はそんなに痛みがひどいわけでも余裕が全くないわけでもない。
 それでも――精神的に不安定なのは自分でもわかる。
 気持ちの落差が激しいというか、平常心を保つことが難しい。