一応訊いてみると、「仲間はずれは嫌なんだ」とわけのわからない答え。
 でも、"仲間はずれ"という言葉に反応してしまった私は、
「どっちで呼んでほしいんですか?」
「栞が栞さんなら昇さんかな」
 と、嬉しそうに笑った。
「でも、ほかの先生には先生をつけて呼んでますよ?」
「"さん"のほうがより親しげでいいじゃないか。俺は出遅れてるからな」
 と、やっぱり意味のわからない答えが返ってきた。
 でも、そんなことはどうでもよく思えた。
 目の前で真面目にむくれている大人の人がおかしい。
 笑いが堪えられなくてクスクスと笑うと、頭にポンと大きな手が乗った。
「なんだ、笑えるんじゃねーか」
 先生はどこか嬉しそうに笑う。