光のもとでⅠ

 顔を上げると、
「病院に運ばれてきた日も、家族揃ってこの部屋にいたのよ? バイタルを見ているとね、起きてるのかどうかがわかったりするの。けど、ほんの短時間で帰ったわね。お母様が、起きたときに自分たちがいたらあなたがつらいだろうから、って」
 お母さんがそう口にしているところが簡単に想像できる。
「御園生さんは幸せね。こんなにも家族に大切にされているなんて。身内のエゴで患者さんが目を覚ますまでは絶対に離れないってご家族が大半よ? ま、どちらにしてもご家族に思われている患者さんって分類にはなるのだけど」
 藤原さんはどこか少し含みのある物言いをした。
 それはきっと、入院している人の中にはお見舞いに来てもらえない人もいるからだ。
 けど、私の場合は、ただ単に私が甘やかされているだけだと思う。
「でも、同じなのね。あなたも家族を大切に思っているから、家族にも大切に思われているのね」