駅寄りにあるデパート手前には、鏡張りに見える全面ガラス張りの高層ビルた建っている。
 そのビルに朝陽が反射してキラキラ光っていた。
 ずっとそれを見ていると、視界が真っ白になって視線を逸らした。
 太陽や強い光をずっと見ていると、その焦点が真っ白になる現象。
 なんていうんだっけ……。
 そんなことを考えていると、軽いノック音と共に藤原さんの声が聞こえた。
「おはよう。よく眠れた?」
「はい」
 視界の中央が真っ白で、その周りもふわふわとぼやけて見えるため、藤原さんの顔を見ているのかすら怪しい。
「御園生さん、目、どうかした?」
 不審に思ったらしい藤原さんの声が左側から聞こえてきた。
「あの……あれを見ていたら視界が真っ白になっちゃって」 
 と、窓がある方角を指差す。