「翠と話してるとなんとなく落ち着くから」
「……悪口雑言言われてガンガンに泣かれても?」
「それはあまり嬉しくないけど……でも、本音をぶつけてもらえるのは嬉しい、かな。相手が何を考えているのかを知りたいと思えば、それが悪口雑言で、どんな弱音でも聞きたいと思う」
「……じゃ、いつか先輩がつらいことになったら私が弱音を聞きます」
 そんな話をして、ふたり目を見合わせて笑った。
 空を見上げ、
「夏の大三角形ってどれでしたっけ……」
 なんとなく口にしたことにも先輩は答えてくれる。
 そんな時間がとても優しく感じられ、気持ちがほぐれていくのがわかった。
 先輩もインターハイ前で気分が高ぶったり、緊張したりするのかな。
 もしそうだとして、こうやってなんてことのない話をするだけで、気持ちがほぐれるんだったらいいな……。