「線維筋痛症って病気みたいです」
「……さっき、兄さんから文献集めるように言われてネットでオーダーした。明日には本が届く」
 あ、本を揃えてくれたのは司先輩だったんだ……。
「ひどいこと言ったり泣いちゃったりするのは、頭に栄養がいってないからなんだって」
「知ってる」
「そっか……」
 どうしてか、こんな会話だけでも泣き笑い。
 自分の心がどう感じてこういう現象が起きているのか、まったくわからない。
「泣きたいときは泣けばいいし、怒鳴りたかったら怒鳴ればいい」
 先輩の顔を見ると、真っ直ぐに見つめ返された。
「全部引き受けるって言っただろ」
「……うん」
 少し恥ずかしくなって照れ笑い。
 でも、伝えたいことがひとつ。
「今、先輩が隣にいてくれて良かったです」
 ほかの誰でもなく、司先輩が隣にいてくれるからこんなにも救われるのだ。
 それは絶対に間違いじゃないと思った。