個室病棟、南側の一等地……。
「この病院の中では結構いい値段のする部屋だな」
 そんなふうに教えてくれる。
 また、自分にお金がかかっている……。
「……ストレスは身体に良くないぞ」
 その一言には何も答えることができなかった。
「君はなんでもかんでも深く考えすぎなんじゃないか? もっと楽観的に考えてみれば? 南側の一等地に入院なんてラッキー! とかさ」
「そんなの、無理……」
「……どうしてバカでいいやつが賢くて、少しは賢くなりやがれってやつが大バカなのかね」
 先生は大きなため息をついた。
 きっと、私は鉛のような重い物体で、糸か何かで吊るされているんだ。
 そして、少しの力が加わるだけで、右へ左へ、と振り子のように揺れ、その振り幅はどんどん広くなっていく。
 そんなふうにして、私の心は不安定に揺れる。
 いっそのこと、糸が切れてしまえばいいのに。
 そしたら、落下して揺れは止まる――。