「点滴が二ヵ所なのは、ひとつは翠葉ちゃんも知ってのとおり、高カロリー輸液。もうひとつはいつもの輸液。これはあってもなくてもいいんだけど、血圧が下がるとルートの確保が難しいって聞いたから予備として取ってる。採血なんかもここからできるから、いちいち痛い思いしなくて済むよ」
「……はぁ」
 もう、なんと答えたらいいのかわからない。
 ただ、聞いては適当に答えを返す。
 白くて四角い部屋。でも、ソファセットもついている広めの部屋で、明らかにランクの高い部屋であることが予想できる。
 窓の外を見ると――。
「駅ビル……?」
 駅ビルが遠くに見えるということは、もう少し右側に藤山があるということで――。
 真南の建物?
「先生……ここは藤宮病院ですよね? どこの建物になるんでしょうか」
 外を見たまま問いかけると、
「あぁ、ここは個室病棟だから南側の一等地だよ」