「司、全然動く気配なかっただろ? 見てればおまえの気持ちなんてすぐわかるのに、全然行動に移さないからさ、どこでターンがくるのかと内心ヒヤヒヤしてた」
 いや、俺的にはそれなりにがんばっていたつもりではあるんだけど……。
「でも、こぉ正面切って宣言されると心構えができていい」
 あんた誰だよ……。
「……秋兄、今藤宮秋斗って不在だったりしないよね?」
「くっ、不在っていうかさ、これからどうしたらいいものかと真面目に悩み中だよ」
「……こんなことで胃潰瘍再発したら、俺、大笑いするけど?」
 こんなこと、なんて口にしたけど、これはかなり衝撃があるよな。
 俺はまだ手の内になる封筒に視線を落とした。
「そうだなぁ……。俺が倒れてる場合じゃない。胃潰瘍は完治させないとな。じゃないと翠葉ちゃんに何も言えない立場になっちゃうし」
 どこまでも自虐的。
「……たぶん、翠は大丈夫だ。少しすればもとに戻る。そしたら連絡する」
 秋兄は意外って顔で俺を見た。