御園生さんの車の助手席に姉さんが座り、俺と翠は後部座席。
 とはいえ、翠は未だ俺の腕の中で眠っている。
 泣きすぎて腫れた瞼が痛々しかった。
 栞さんは自分の車で、唯さんと秋兄は秋兄の車で後ろからついてきている。
 病院についてストレッチャーに乗せると処置室へ運ばれた。
 処置室の中に兄さんが見えた。
 紫さんから腕はいいと聞いているが……。
 兄さん、あまり痛い思いはさせないでやってくれ。
 そんな視線を送ると、見知った人間が横切った気がした。
「昇さん……!?」
「そう、今日帰国したばかりなの」
 栞さんに言われて、そうなのか、と納得した。
 一仕事終えた気になり、廊下の長椅子に腰掛ける。と、隣に御園生さんが座った。
「ありがとう」
 ひどくやつれた顔をして礼を言われる。