翠はずっと泣いていた。
 叫びながら、強がりを言いながら、ずっと――。
 悪い、こんなふうにしか言えなくて。
 けど、わかってほしい。
 早く良くなってほしいと思ってるんだ。
 少しでも早く、楽になってほしい……。
 俺が一口飲んだだけのカップを翠の口もとへ運ぶと、「いらない」と拒否された。
「いいから……一口でも飲め。まずはそこからだろ?」
 翠はカップをじっと見つめ、両手をカップに添えた。
 けれども、その瞬間に身体を震わせる。
 もしかしたら、カップを持つこともできないのかもしれない。
 それなら俺が持っててやるから……。
 少しずつカップを傾けると、翠はコクリコクリ、と少しずつ飲み始めた。