「湊、これは俺の専門分野外だ。専門家は来月か再来月にならないと帰国しない。それに、実際に患者を診てもいないからどうとも言えないだろ」
 もっともだ……。
 私がどうかしていた。
「おまえも疲れてんだよ」
 右側から頭を小突かれ、昇が帰ってきた実感を今さらのように得た。
「少し、寝させて……」
「あぁ、寝とけ寝とけ」
 運転を栞に任せて良かった。
 静かな戦場へ行く前の一休みができそうだ――。