光のもとでⅠ

 今日は栞の車で来ていた。
 青空に照らされた真っ赤な車が目に痛い。
 しばらくすると、栞の鈴を転がしたような声と昇のバリトンの声が聞こえてくる。
「湊、私が運転するわ。湊は昇に翠葉ちゃんの状態を説明して」
 栞に言われて運転席のドアを開けられた。
 すでに運転席にすっぽりとおさまりシートベルトをしていた私はちょっと間抜けな顔をしたと思う。
「なぁに? 私の運転が怖いとでも言いたいの? 少なくとも湊よりは安全運転よ?」
「言えてら」
 身体を縮めて後部座席に乗り込んだ昇が鼻で笑う。
「湊のことだからカルテのデータくらい持参してんだろ?」
 さらには、「こっちへ来い」と後ろから髪を引っ張られた。
 伸びたな、と思う。
 人に髪の毛を引っ張られる程度には、髪が伸びたな、と。
「栞、ありがとう。そうさせてもらう」
 好意を素直に受け取り、運転席から離脱した。