「栞、ただいま」
「おかえりなさいっ！」
　高い背を折り曲げ、栞の頬にキスをする。
　そんなふたりを見ていると、
「よぉ、湊が出迎えに来てくれるとはな」
　言いながら昇がこちらへ向かって歩いてきた。
　思わず舌打ちしたくなる。
「やることがないのよっ」
「へぇ……」
　まじまじと顔を見られムカついたので睨み付けてやった。
　っていうか、ゲートから出てくるのを見つけたときから睨んでいた気がしなくもない。
「やることがないってーのは、やれることがないってことか？」
　にやり、と笑う。
　相変わらず察しがいい。