どうしてか目に涙が滲んで泣きそうだった。
 下を向いたら間違いなく涙が零れる。
 必死で我慢していると、蒼樹さんに手を引かれ引っ張られた。
 そのまま表玄関の外に出ると、柱の影に立たされる。
「蒼樹さんっ!?」
 蒼樹さんの顔を見上げようとしたら、すぐそこに蒼樹さんの顔があった。
「っ……!?」
 目の縁に、キス……?
「泣かせないから……」
 と、もう片方の目にもキスをされた。
 涙を、吸われた……。
 次には唇にキスをされ抱きしめられた。
「絶対に桃華を泣かせたりしないから」
「……はい」
 蒼樹さんの腕に抱きすくめられた私は蒼樹さんのブルーのシャツに押し当てられ、涙はすべてシャツに吸われてしまった。
 この人は、ちゃんと私を見てくれる――。