「きっと、母さんと父さんにしかできないこともあると思う。だから、探そう?」
「……そうね」
 おば様は両手で顔を覆い、涙を隠した。
 私はその手にハンカチを握らせ、
「蒼樹さんを駐車場まで見送ってきますね」
 と、処置室を出た。
 泣き顔なんて、息子や娘のクラスメイトに見せたいものではないだろう。
 そう思って席を立った。
「桃華、ありがとう……」
「いいえ」
 正面玄関に向かって通路を歩く。
 三時を回ろうとしているのに、まだ待合室には人があふれていた。
 いったい、毎日どのくらいの患者が訪れるのだろう……。