光のもとでⅠ

「それから、今日、栞ちゃんのご主人、神崎昇医師が到着します。彼がアメリカから医師をひとり連れて帰ってくるんですよ。その医師の到着はまだ少し先なのですが、手立てがなくはないようなので……。今よりも良くなることを期待しましょう」
「……はい」
 とても、「期待に満ちた声」とは思えなかった。
 きっと、何かに縋りたくてそれでも何にも縋れない状態でここまで来たのだろう。
 ……これが普通、なのかな。
 娘の具合が悪いことでこんなに憔悴しきってしまう母親って――これが、普通、なのかな……。
 うちはお手伝いさんのほうが親身になってくれる気がする。
 母も父も常に仕事仕事で娘を心配するあまりに体調を崩したことなど見たことがない。
 私が地方へ療養に行ったときですら、私に付き添ってくれたのはお手伝いさんだった。
 とても冷え切った家族……。
 それはいったいいつからだったのだろう――。