「桃華も、もう少しわがままになっていいよ」
「え……?」
「どうしても聞いてあげられないこともあるけど、桃華は俺の中でかなり優先順位高めだから」
 ……なんてずるい笑顔なのかしら。
「……それじゃ、また、キス……してくださいね」
 大きな声では言えなくて、でも、意思というか願望というか……気持ちは伝えたくて口にした。
「それはもちろん」
 信号待ちの蒼樹さんが真顔で言う。
 なんだか恥ずかしくなってしまい、
「この次の信号を左折です」
 と、スーパーへの誘導に話を戻した。