母さんもまいっているだろう。
「マンションにひとりかな……」
 大丈夫だろうか……。
 母さんの精神状態も気になり、しまったばかりの携帯を再度手にする。
「……母さん」
『蒼樹……』
「今から迎えに行く。……あぁ、でもその前にシャワー浴びたいから一時間くらい待たせるかも」
『私、今――』
「父さんから聞いた。迎えに行くから待ってて」
『ありがとう……』
 声が掠れていた。
 泣いていたのか体調を崩しているのか――両方かもしれない。