「零樹さんっ、碧さんがっっっ」
「……周防(すおう)、悪いんだけど現場指揮よろしく」
 りっちゃんが来たってことは碧が倒れたな。
「すぐに行く。どこかな?」
「森ですっ」
「……は?」
「少し風にあたってくるって出ていったきり戻らないから、迎えにいってみたら倒れてました」
 早足で歩きながら教えてくれる。
 建築現場からさほど離れてはいない森の中で碧は倒れていた。
 周りに数人の部下がいる。
「みんな悪い。俺が病院に連れて行くから現場に戻ってもらえる?」
 そう言うと、みんなは碧を気にしつつも持ち場へと戻っていった。
 残ったのは俺とりっちゃん。