ここ数日は実家へ帰ってきていた。
 母さんが熱を出し、ハナの散歩に行けないからという理由で強制送還。
 俺は俺で、納得のいかないことがあり少し自棄になっている。
 何って、ここにきて翠のバイタルデータが俺と海斗だけ打ち切られた。
 考えてみれば、俺たちにデータが送信されたところで翠が学校へ来ていないのだからフォローのしようがない。
 でも、何ができるわけでなくても、翠の状態を知るためだけにデータ送信を止めてはほしくなかった。
 そんなことを考えながらハナと藤山を散歩する。
 何も知らない真っ白チワワは、尻尾をふりふりさせながら意気揚々と歩いていく。
 名前を呼んだとき、俺を見上げてくる大きな黒目がかわいい。
 それに翠をかぶせてしまう自分はかなり重症な気がする。
 ハナの散歩を終わらせ自宅へ戻ると、父さんと出くわした。