最近は、藤山の家へは帰らず姉のマンションに帰ってきていた。
 理由は明快。
 こっちに帰ってくるほうが翠の情報を入手しやすいから。
「明日、午前中だけ翠葉が出てくるわ」
「ふーん……」
「海斗にも言ってあるけど、あんたもフォロー頼むわよ?」
「……俺、学年違うけど?」
「まぁね……。それに、翠葉のクラスなら何も言わなくてもしっかりフォローしてくれるんでしょうけど」
 言いながら、意味深な視線を俺によこす。
「何……」
「別に? あんたが手助けしたくてしょうがないんじゃないかと思って」
 姉さんは面白そうに口にする。
 途端に姉さんの相手をするのが面倒になり、
「そろそろ寝たほうがいいんじゃないの?」
 時計に視線を向けると、
「あら本当。美肌のゴールデンタイムが刻々と減っていくわ」
 姉さんはソファから離脱して寝室へ向かった。
 明日、翠が学校へ来る――。