確かに……。
 今までなら何に変えても翠葉の側にいただろう。
 けれど、今回は桃華を優先させたい。
「たぶんさ、唯と翠葉のリハビリなんて言ってたけど、俺にとってもリハビリなんだ」
「どういう意味?」
「自分で言うのもなんだけど、俺、重度のシスコンだからさ、ほかの誰かに翠葉を任せることができないんだ。でも……このままじゃだめだから」
「……なるほどね。リィはほかの人に頼ることを覚えなくちゃいけないし、あんちゃんはほかの人に任せられるようにならないといけないってことか……。まるで親離れ子離れだね」
 そんなふうにたとえられて少し笑う。
「俺はがんばってみる、としか言えないかなぁ……。実際に何ができるのかなんてわからないし、たぶん、側にいることが精一杯。リィはあんちゃんのほうがいいんじゃない?」
「どうしようもなく手がつけられないと思ったら連絡して。すぐに戻るから」
「でも、俺にどうにかしてほしいんだね? 絶対に外せない用なんだ?」
 何かを見透かされたように返された。